2018年11月タイ旅行-5

17時5分発 急行83番 トラン行き。

私の予約した車両はDAEWOO(韓国)製の2等冷房寝台車だった。

形式は、บนท.ป 1107。pdfの切符のCoach Type欄には、ANS40と記載されていた。

以下タイ語ウィキペディア(วิกิพีเดีย)に、タイ国鉄の車両についての一覧の情報が載っている。

th.wikipedia.org

確かにトラン行83番列車で、ASN40で、1107の車両が使われているような記載が確認できる(赤丸印をつけた箇所)。このウィキペディア記事がいつ書き換えられているのか確認できていないが、各番号の列車で使用する車両はそう頻繁に変更はしないように見える。

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となると、日本から渡ったブルートレインはどう書かれているのか気になったので見てみると、A寝台、B寝台、14系客車はほぼすべて同じタイ語で「ขบวนรถด่วนพิเศษ(ช่วยการโดยสารในช่วงเทศกาลสงกรานต์และเทศกาลปีใหม่)กรุงเทพ-เชียงใหม่」」と書かれていた。翻訳すると「特急列車(ソンクラーンと新年の祭りの際に乗客を助ける)バンコク-チェンマイ」とのこと。英語翻訳だと「Special express train (helping passengers during Songkran and New Year festivals) Bangkok - Chiang Mai」とのこと。なんとなくわかる。ソンクラーンと正月期間だけの特別列車の車両として使われるらしい。ゴールデンウィークや年末年始の臨時列車みたいなものなのか。私みたいなブルートレイン好き日本人は、タイに渡った日本のブルートレインがどの列車にいつ使われるのかを、ウェブで正確に分かるのなら、予約してタイまで行くだろう。仕事の休みを調整して。

 

さて、DAEWOO(韓国)製の2等冷房寝台車に乗り込んだ。

デッキ付近の写真を撮る。

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1996年製らしい。DAEWOO HEAVY INDUSTRIES LTDと見える。

翌1997年には、アジア通貨危機がタイから起こり、韓国にも影響し、その後、DAEWOOは破綻してしまったとのこと。

しかしこうやって現在でもDAEWOO製の車両は、定期運用されているので、使いやすい車両なのだろう。

 

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洗面所とトイレの扉。LION(日本の会社)のザクトという練り歯磨きの広告がある。ザクトはたばこのヤニがよく取れるそうで、まだ日本でも売ってはいるが、昔のようには売れていないはずである。たばこを吸う人は昔よりも少なくなっているからだ。タイでは加熱式たばこは禁止されている。いまだに紙巻たばこが主流だからか、こうやってザクトの広告があるのだろうか。そういえば、飛行機降りてドンムアンから乗った気動車にもこれと同じザクトの広告があった。庶民(エリートはたばこを吸わない人が多いはず)の乗るタイ国鉄だからこの広告があるようにも思える。

 

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各寝台車には、ベットメイキングをしてくれる係員が1名ずつ乗っているようだった。写真はデッキ付近にある、その係員が座るところのようである。各乗客に配るバスタオルのような寝具が置いてある。この寝具は、使用後は回収し、クリーニングして使っているようである。

 

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私は、下段を予約していた。写真は、緑茶(水色の帯に、砂糖なしと書いてある)と水。上段の乗客は、途中の駅から乗ってきた。オレンジ色の袈裟を着た50~60代の僧侶であった。通路を挟んだ隣の席には、中国人の父子がいた。大きな声でよくしゃべっていた。子供はまだ幼稚園くらいの男の子だった。父親は20代か30代前半くらいだった。二人でよくしゃべる父子だった。父親は何度も咳をしていた。子供としゃべるたびに大きな咳払いも何度もしていた。寝台に寝てカーテンを閉めてもしていた。風邪の咳ではなく、癖のような感じだった。

 

座席の前に座っていた僧侶が話かけてきた。私はタイ語は挨拶と簡単な単語以外ほぼ分からないが、身振りで僧侶は下段で寝るから、私は上段で寝るよう言っているようだった。一応、「私は下段を予約しているのですが」(※下段の方が上段よりも料金が高い)とジェスチャーで伝えてみた。僧侶は急に近くにいたベットメイキングをしていた係員のところへ行き、上段と書かれているであろう自分の切符を見せて援護を求めるような感じで何かを説明していた。係員とまわりのタイ人客は、終始無言であったのが気になった。郷に入れば郷に従えで、私は僧侶に下段を譲ろうとは思ってはいたが、そうすんなり「どうぞ」とは言いたくなかったのである。私は間を破るように「ブディスト イズ プライオリティ」と適当に言った。それを聞いた隣の中国人の父親が急に大声で笑った。それが通じたのかわからないが、すんなりと僧侶は下段で、私は上段に分かれた。

 

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食堂車へ行く途中で元12系の客車を通った。バスよりも広々していて、トイレも広いようだ。料金が安いなら、こちらでも良いかもしれない。

 

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私の後ろには、国鉄職員と思われる人が座っていた。結構混んでいるので、この席にした。座席は映画館とかにある椅子になっている。年季の入った車両だ。窓全開の食堂車など日本には無い。

 

タイ国鉄に乗る楽しみは売り子からモノを買うことにもある。3等冷房なし座席車では、売り子が頻繁に売り物を連呼して売り歩くのは知っていたが、私が乗ったこのトラン行2等冷房あり寝台車でも夕食時と朝食時は、同じくらいの頻繁で売り子が行き来していた。頻度は少なくなるが、夜24時くらいまで、朝は起きる前の5時前くらいでも、ときたま何かを連呼しながら通る売り子の声をカーテン越しに聞いた。連呼と書いているが、タイ人らしく決してうるさく連呼はしてはいない。「〇〇はどうですか~」みたいな声調で連呼して通路を通るのであった。

 

汁なし麺(クイッティアオ ヘーン)を2つ買って上段のベットで食べた。店の名前のスタンプだろうか。どこかのお寺のように見える。調べるとนครปฐม(ナコンパトム)と書かれていた。ナコンパトムには、プラ・パトムチェーディーという世界一高い仏塔があるのが有名らしく、それをスタンプにしているのだろう。電話番号が書かれているので、ブラシで消しました。

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内側の紙はビニールか何かでコーティングされている。砂糖、プリックポン(唐辛子)がかかっていた。酢はかかっていなかったと思う。パクチー、ルークチン(練り物)、もやし、干しエビと入っており、味はクイッティアオの味で、おやつ代わりに食べられる。普通においしい。2つ買って正解だった。この売り子のところへ私から近寄って行って買った。売り子のお姉さんの笑顔が良かった。隣の中国人の父親が私がこれを買うのを見ていた。翌朝、中国人の親父は、違う売り子から同じように紙に包まれているクイッティアオを買っているのを見た。そのクイッティアオの包み紙には、ナコンパトムとスタンプはされていないはずだ。

 

別の売り子から、どこかの名物らしい菓子を買った。カシューナッツなどを飴でコーティングしているもので、見た目はおいしそうなのだが、あまりおいしくなかった。硬くて歯にも良くない。量も多かったので、もったいなかったが、トランのホテルで捨ててしまった。

 

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毛布代わりに配られるタオル。これがあるだけでも違う。冷房が効きすぎているので、フリースジャケットを着て、このタオルを掛けて寝た。床下に電源用のディーゼルエンジンがあり、音がする。排気ガスもどこかから入ってくるような感じがした。寝るときにマスクもしたほうが良いかもしれない。

 

クイッティアオを食べたりしているが、上段は狭い。窓もない。帰りは下段で寝たが、広くて窓のある下段のほうが私には良かった。

飛ばす区間があるようで、その区間は、揺れが大きかった。帰りもある区間は、かなり揺れて怖かった。しかし、朝5時までくらいまで意識がなく寝ていたから、飛ばす区間だけ揺れが激しくなるのかもしれない。